意地っ張り
『ね。俺とつき合ってくれない?』
目の前でニッコリ笑って
いるのは笠井くん。
結局一緒に食事をして
しまっている私も私だけど。
どうして好きでもない女に
いとも簡単につき合おうなんて
言えるのかその気持ちが
分からない。
そんなに私って
軽く見えるのだろうか?
「じゃ、はっきり言わせてもらいます」
『あ、待って。俺、顔は自信あるよ。あと、あっちのテクも』
「つき合う前から、そんなこと…」
『だって、大事でしょ?』
例えば私が笠井くんを
好きなら気になる事なのかも
しれない。
でも彼に対してひとかけらの
好きの気持ちもない私には
全くそんな事に興味はない。
「笠井くんて、誰にでもそうなの?」
『うーん。…まぁね』
「彼女になったら苦労しそう」
『麻季ちゃんにはそんな苦労はさせないよ』
はぁ…。
全く話が噛み合わない。
だけど笠井くんが引くことはなくて
ガンガン押しまくってくる。
この人には口で勝てそうもない。
こーなったら逃げるしかないか。
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