意地っ張り


案の定、帰るつもりが
帰してもらえず目覚めた時には
松本の腕の中。





もちろんちゃんと服は着ているし
何か過ちがあったわけでもない。





この状態はいつもの事であって
松本が私に好意を持ち合わせて
いる訳ではないのだ。





ヤツ曰わく、
抱き枕が必要なんだとか。





ま、アタシはぬいぐるみ
以下ってこと。





松本の腕の中から抜け出す為に
モゾモゾと動いたらどうやら
目を覚ましたらしい。





『んー、…はよ』





寝ぼけてる松本は
まだ目が開ききってない。





そんな松本をベッドに残し
さっさと身なりを整えて
部屋を出る準備をする。





『待てよ。一緒に行こうぜ』





「あのね、同じ服で出社出来るわけないでしょ」





なるほどねと呟いた松本は
またベッドに横たわった。





どんだけ寝る気なのか。
私は足早に松本の部屋を出た。





しかし、泊まってしまったせいで
とんだ忙しい朝になってしまった。




急いでシャワーを浴び
メイクを軽く済ませて
電車に飛び乗ってなんとか
始業時間に間に合った。





デスクで1人ため息をつき
コーヒーを流し込む。





『麻季ちゃん。昨日、お泊まりだったでしょ?』





ふいにかけられた言葉に
ブハっとコーヒーを
吹き出してしまった私。





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