イジワルな彼の甘い罠
「……そうかよ」
明らかな落胆を隠すように、地面へ視線を移し再度煙草に火をつけ直そうとポケットから煙草とライターを取り出す。
けれど思った以上に動揺しているのか、一度掴んだライターを離してしまい、青い100円ライターは地面へと落ちた。
ちょうど足元へ落ちたライターに、玲二はそれを拾うと、俺へそっと差し出した。
「お前は、それでいいのか?」
それは、俺自身の心への問いかけ。
「……いいもなにも、俺とあいつはそもそも付き合ってない。いつか終わるのを分かってて繋ぎ止めなかったのは、自分だ」
なんて身勝手な女。
けれど、俺にはそんな身勝手すらも責める資格はない。
「ならば今、その中途半端を終わらせるべきじゃないのか?」
中途半端を、終わらせる?
その言葉に顔を上げると、玲二はこちらの気持ちなど見透かしてしまうかのような真っ直ぐな目で俺を見る。
「……一度くらい、彼女の優しさに甘えずに向き合ってみたらどうだ」
早希の優しさに、甘えずに向き合う。
自分の位置を、気持ちを、はっきりとさせるためにも。