イジワルな彼の甘い罠
「なん、で……」
「……黄色、って何の色か知ってるか?」
「え?」
「高校の頃、お前が俺に『似合う』って言った色」
その言葉に、ふと思い出す。
そういえば高校三年生の頃、卒業式で先生に渡すのに、クラスの皆に寄せ書きを書いて貰っていたことがあった。
『遠野くん、寄せ書き書いて』
『あー……書くことなんてねーよ』
『なんでもいいから。ペン、何色使う?』
予想通り最初は嫌そうに渋ったけれど、『ね』と押し切った私に、航は『なに色でもいい』と渋々手を差し出した。
そんな航に私が差し出したのは、黄色いペン。
『えーと……じゃあはい、黄色』
『……なんで』
『遠野くんの髪の色と同じだから』
最初は、彼を少し苦手に感じさせた理由のひとつだった派手な髪。
けれど、太陽の光にキラキラと輝くその色は、みる度にその心の隠れた眩しさを示しているような気がして。
『その色、似合うよね』
その気持ちを、伝えたんだ。