イジワルな彼の甘い罠
「……そんな、昔のこと」
「覚えてるに決まってるだろ。…嬉しかったんだから」
「なんで、だって、今までそんなのひと言も……」
あんな些細な出来事を、まさか航が覚えているとは思わず動揺してしまう。
「あぁ、言ったことねーよ。つーか言えるかよ……今更、本当の気持ちなんて。けど、後悔するのはやっぱ性に合わねーから、この際ハッキリ言う」
そう言い切って、私の瞳の奥をしっかりと見つめた。
「高校の頃、学校行くたびお前のこと見てた。……なにもしないで卒業して、その後めちゃくちゃ後悔した。だからこそ、同窓会で行きあった時、今しかないと思った」
『……迷ってるなら、うちこいよ』
あの夜の、ちいさなひと言。
それは、航の密かな想いの証で、勇気だった?