イジワルな彼の甘い罠
電車の中でうたた寝をしながら、なんとか降り過ごすことなく着いた家。
航の家よりは多少マシなものの、小さいことには変わりないワンルームのアパートで、私は部屋に入った途端ベッドに飛び込みそのまま眠りに落ちた。
化粧落とさなきゃ、スーツも着替えなきゃ……あぁ、携帯もチェックしてない。
やらなければならないことはいくつもある。けど、それより眠い……。
あまりの疲れと眠気に重い瞼は上げられず、ぐっすりと眠りに落ちた。
そしてそれから何時間が経っただろうか、ふと目を覚ますと窓の外には沈む夕日が見えた。
「……ん……いま、なんじ……」
寝ぼけた頭で壁のかけ時計をみれば、時計の針は17時を指している。
ちょっと寝すぎた……こんなに寝るつもりじゃなかったんだけど。
でも昨日の徹夜に加えて、その前の日も寝不足だったし仕方ないか。