イジワルな彼の甘い罠
他の奴でも事足りる?
相手がいないだろうから誘ってやってる?
っ〜……なにそれ!腹立つ!!
さすがにその発言にカチンときた私は、一度は部屋へあがったものの、体の方向をくるりと変えて玄関へ戻る。
「帰る」
「は?今来たばっかだろうが」
「私じゃなくても事足りるらしいんで。どうぞ他の女とご勝手に」
「おい、早希」
不機嫌な態度で靴を履こうとすると、航はそんな私の腕をグイッと引っ張り足を止めさせる。
「なによ、離して……んっ、」
そして力ずくで顔を振り返らせ、『行かせない』とでもいうかのようにキスをした。
腕を掴んでいた骨っぽいその大きな手は、するりと上へとのぼり、私の頬と頭をしっかりと掴み離さない。