イジワルな彼の甘い罠
「しゅ、出張!?」
ある月曜日の午後。
オフィス内で上司からの突然のその一言に、私は驚き声をあげた。
「そう。唯川と八代の二人、明日から一週間の大阪勤務」
「一週間!?しかも明日から!?そんないきなり……」
「大阪支社で季節外れの風邪が大流行してるそうでさ、どうしても人手が足りないっていうんでうちの部署からもふたり欲しいそうなんだよ」
うちの会社は大阪・札幌に支社があり、転勤はあまりないものの出張が時々ある。
が、一週間。しかも明日から。余程切羽詰まっている急なスケジュールに、上司は「頼む」、と手を合わせた。