イジワルな彼の甘い罠
「そもそもなんで私と八代くんなんですか……」
「だってほら、お前らこの前もふたりで頑張ってくれたじゃん?八代は期待の若手だし、唯川はもうベテランだし……」
つまりはふたりとも融通が効く独り身だから、ということなのだろう。
どうにかこうにか言い繕おうと必死な上司に、私は益々嫌な顔をした。
「自分の仕事もあるのにそんないきなり……ねぇ、八代くん」
「そこまで言われたら行くしかないですよね!」
「へ?」
が、隣でずっと黙っていた八代くんをみれば、彼はぐっと拳を握り気合い十分に目を輝かせる。