イジワルな彼の甘い罠




「遅い」



時刻は夜21時すぎ。

わざわざやって来た私に対し、カメラからこちらに向けられたその黒い瞳は、今日も冷ややかに私を見た。



「あんたねぇ……こっちは急いで支度してたのよ!明日から出張だって言ったでしょ!?」

「なに前日に慌てて支度してんだよ。いきなり決まったわけでもあるまいし余裕のない女だな」

「いきなり決まったの!!」



イライラと部屋へ上がりながら、床に散らかった雑誌や荷物を足でどかす私に、航はカメラや機材を雑に扱われないようにとササッと部屋の端へ避けた。



「ったく、前日の夜くらいゆっくりさせてよ……」

「一週間おあずけだからな。前日の夜くらいガッツリやらせろ」

「変態」



冷たく言い放つと、航はぐいっと腕を引き私をベッドへ押し倒す。



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