イジワルな彼の甘い罠




「……ん……」



翌朝、陽の眩しさに目を覚ませばそこには裸にシーツをまとっただけの私と航の姿があった。

何度体を重ねただろう。覚えていないくらいグチャグチャになった昨夜は、そういえば疲れ切って眠ってしまったのだと思い出す。



すー…と静かな寝息に、その寝顔を見つめては昨夜のことを思い浮かべる。


……あんなに沢山したの、久しぶりかも。

まるで、航も会えない時間分を補っておくかのように。



あれ、ていうか今何時……。

そういえばと時間を思い出し、すぐ近くに置きっぱなしになっていた航のスマートフォンで時刻を確認すれば、初期設定のままの待ち受け画面に表示されたのは『7:05』の文字。



あれ、そういえば何時に待ち合わせだっけ……。

何時の新幹線……。



『朝8時の新幹線でー……』



八代くんの言葉を思い出した瞬間、血の気がサーッと引くのを感じた。



「っ……まずい!!」



寝坊した!!!




< 85 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop