いとしいこどもたちに祝福を【前編】
13 虚言の容貌と蒼空

「ああ、行っておいで、子供たち」

「――やはり使えないな、炎夏の倅は」

「己の保身が第一の矮小(わいしょう)な領主の子とあっては…致し方ないかと」

「だが領主様は陸を取り逃がしたことに大層ご立腹だ。致し方ないでは済まされないぞ、三満(みつま)」

「は…申し訳ございません」

「…まあいい。今はそれよりお前の処遇について考えないとな――風弓?」

「っ…如月(きさらぎ)」

白衣に身を包んだ二人組のうち、見下すように自身をねめ付ける女を風弓は負けじと睨み返した。

手足の自由と能力を封じられて尚、精一杯の敵意と憎しみを込めた眼を向ける風弓に、如月と呼ばれた女は溜め息を落とす。

「私はお前を買い被っていたようだ。お前なら父の汚名を雪(そそ)ぐため、きっと陸を連れ戻して来てくれると期待していたのだが」

「親父はそんなこと望んでないって、漸く気付いたんでね」

「まさか陸をわざと見逃した上、施設の破壊を目論むとは!やはり裏切り者の子は裏切り者だな!」

「止せ三満。…風弓、炎夏で何があった?陸が長らく留まっていたことも関係あるのかな」

傍らの男を諌めながら、如月が幼い子供に言い聞かせるかのような口振りで語り掛けてくる。

「何もねえよ。俺が自分の誤りに気が付いただけだ」

「そうか。私はてっきり、才臥が妙に隠したがっているお前の片割れでも炎夏にいたかと思ったが」

「…!」

核心を突く一言に思わずどきりと心臓が跳ね上がったが、それを気取られないよう懸命に無表情を取り繕う。

「陸はある娘に匿われていたらしいな。慶夜は然程気に止めていなかったが、雪乃はその娘について詳しく報告してくれたぞ?」
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