赤ずきんは狼と恋に落ちる
その後、千景さんはすぐにタクシーを拾い、何事もなかったかのように、マンションまで向かった。
目の前でくるくると変わっていく景色を見ていると、自然と涙が止まっていくのを感じた。
私、平気じゃなかったんだ。
振られて3カ月。
その直後に、千景さんとの運命的な出逢い。
何故か、千景さんを「飼う」ことになってしまったあの夜。
私と千景さんが、ただの同居人でいることが、切なくて苦しくなった。
その反面、今のままの曖昧な関係でいることが、お互い居心地が好いのかもしれないと思った。
そして、今日。
私の不甲斐無さと、千景さんの優しさをいっぱい感じた。
「好きです」なんて、突然言われても、困惑させてしまうだけなのに。
どうしても、どうしても言いたい。
「好きが溢れて止まらない」なんて、可笑しい表現だけど。
言わないと、伝わらない。
ちゃんと、泣き止んだら伝えよう。
振られたら、今の生温い関係は全部サヨナラ。
もう一度涙を拭い、窓の外をじっと見る。
伝えよう。
このままじゃ、嫌だから。