赤ずきんは狼と恋に落ちる



「もう、大丈夫?」




千景さんは心配してくれているのか、いつも通りに話しかけてくれた。



「はい、もう大丈夫です。……心配させちゃってすみません」


ペコリと謝った後に、「これじゃいつもと一緒だ」と後悔の波が押し寄せてくる。



「ええよ。気にせんといて。そうだ、りこさんにもコーヒー煎れてくるわ」



また台所へ戻り、コーヒーを煎れる千景さん。


その姿をじっと見ながら、ソファーに腰を下ろした。






「りこさん?」

「はいっ?!何でしょうか?!」

「いや……、さっきから呼んでも返事せんかったから……」



何をやってるんだろう、私……!!

さっきからぼんやりしているところしか見せていない。



「すみませんっ!」




顔もまともに合わせられず、テーブルのコーヒーに視線を逸らす。




「あ……」




ちょこんと置いている、今日買ってもらったマグカップ。

そっか、これに入れてくれたんだ。




「千景さん、」





言おう。


今、言わなきゃ。


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