赤ずきんは狼と恋に落ちる





たった一瞬で体温が急上昇した私に、追討ちをかけるかのように、千景さんは耳元で甘く囁いた。



条件反射で身体を震わせ、逃げようとしたが、私に回している腕で逃がさまいと、また強く、抱きしめられてしまった。






「りこさん、今そないなこと言うのずるいわ……」





ずっと溜めていたのか、千景さんは、搾るように小さく息を吐く。


今言われたことも、こんな風に抱きしめられることにも慣れていない私は、そんな小さな息にさえ、ビクリと身体を震わせる。





「俺はただの居候やし、りこさんにとってはややこしいペットみたいなもんやて思っとった」




腕の力を弱めることなく、一つ一つ、溢れていく言葉。


この3ヶ月間、そんな風に考えていたのか。





そう思うと、涙が止まらなかった。






「りこさんを好きになるの、むっちゃ早かった。せやから、絶対手ぇ出さんとこ思おて、聞き分け良くしとったんやけど……。


もう、無理やわ……」





ふいに両肩を掴まれ、くるりと回されて、千景さんと向かい合うように座る。




何て言えば良いのか、言葉に出来ない涙がポロポロと溢れ、零れる。




「言わんかったら、どっか行ってしまいそうや。


……りこ、大好き」



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