赤ずきんは狼と恋に落ちる
ドライヤーで髪を乾かしながら、ふと考えてみる。
千景さんは、いつからそう想ってくれていたんだろう?
髪を梳く手を止め、ぼんやりと考える。
私なんかのどこを好きになってくれたのかも知りたい。
だけど、それを訊く勇気はまだない。
3ヶ月の間、一緒に居る時間が一番長かったのは千景さんで。
千景さんも、そうだったら嬉しいけど。
好きになるのは、案外、そんなに時間がかかるものじゃないかもしれない。
ドラマや恋愛小説のように、美化して、「素敵な恋だ」と思うのはおこがましいけど。
あながち、間違いじゃないのだ。
随分夢見がちで乙女チックな思考になったものだ。
呆れと嘲笑を吹き飛ばそうと、カチリ、とドライヤーを強めに切り替える。
強風と轟音の中、玄関の方でパタンと小さな音がした。
……彼が帰って来たみたいだ。