赤ずきんは狼と恋に落ちる





ドライヤーで髪を乾かしながら、ふと考えてみる。



千景さんは、いつからそう想ってくれていたんだろう?




髪を梳く手を止め、ぼんやりと考える。



私なんかのどこを好きになってくれたのかも知りたい。


だけど、それを訊く勇気はまだない。



3ヶ月の間、一緒に居る時間が一番長かったのは千景さんで。


千景さんも、そうだったら嬉しいけど。



好きになるのは、案外、そんなに時間がかかるものじゃないかもしれない。



ドラマや恋愛小説のように、美化して、「素敵な恋だ」と思うのはおこがましいけど。




あながち、間違いじゃないのだ。



随分夢見がちで乙女チックな思考になったものだ。




呆れと嘲笑を吹き飛ばそうと、カチリ、とドライヤーを強めに切り替える。

強風と轟音の中、玄関の方でパタンと小さな音がした。





……彼が帰って来たみたいだ。



< 114 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop