赤ずきんは狼と恋に落ちる





***


寒い寒い冬の夕方。


少し早めの時間に、私は一人、冷たいシャワーを浴びていた。



浴槽からゆらりゆらりと動く湯気を、ぼんやり見つめながら、濡れた肌をぎゅうっと抱きすくめる。




こんなことになるとは、全く思ってもいなかった。




肩に張り付いた濡れた髪。

ポタポタと零れる滴がひどく冷たく感じる。



まともに目の前に居座っている鏡を見ることが出来ない。





いつもより泡立てて、念入りに身体を洗った。


髪も同じように洗ったし、あとはドライヤーをかけるだけ。





お風呂場から出たら、……考えるのはよそう。



新しいボディーソープやシャンプーを買えば良かった、とか


こうなる前にダイエットでもすれば良かった、などなど、「しておけば良かった」と後悔することばかりだ。



まさに、「後悔先に立たず」。






一つ大きく息を吐き、湯舟に1分間浸かる。


曇った鏡を手で擦り、自分の顔だけを見る。




もう、ごちゃごちゃ考えたって仕方がない。


それに、今日は私の人生でとても素敵な日だ。




自分に言い聞かせるように、うんうんと頷きながら鏡を見る。



そして、ドアを開けて、私のこもり部屋から出た。



< 113 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop