赤ずきんは狼と恋に落ちる
「どうぞ」
あの時と全く同じように、私に苺ジュースが入ったグラスを差し出す。
ゆらゆらと揺れる赤をぼんやりと見つめながら、千景さんの言葉を待つ。
「ここに居るのも構わないんやけど、」
再び私の前に座ると、髪をクシャリと握り、息を吐く。
「この前みたいなことがありそうやし。……よう分からんけど、りこさんが気になるんや」
言った途端に、千景さんは顔を逸らしてしまった。
気になる。
私が、あんまりにもぼんやりしすぎているからか。
隙がありすぎるからか。
どちらも当てはまる。
だけど、この前のことをそんなに心配してくれていたのかと思うと、申し訳ないというより、嬉しいと思ってしまう。
こんな時に、何を私は考えているのか。
揺れが小さくなった苺ジュースを一口飲み、少しだけ落ち着いて考えてみる。
私と千景さんとの関係。
曖昧で、とても脆いけど、壊したくない関係。
だから、ちほにもそれは分かってもらいたい。
分かってもらうには、
私がしっかりと彼女に伝えるべきだ。