赤ずきんは狼と恋に落ちる
久しぶりに、ちほと出かける。
最後にちほと出かけたのが、私が元彼と付き合い始めた時だったから、1年は会っていないことになる。
ちほは昔と変わらず、チョロチョロと動き回っている。
「ちほ、ここに入ろうか」
これ以上ちほがウロウロしていたら、私が追いつけなくなりそうだ。
家からある程度歩いた所で、隣にあるイタリアンレストランを指差す。
「ちょっと早いけど、食べよ?」
「いいの?私そんなに持ち合わせてないけど」
「久しぶりに会ったんだし、今日は私が奢るから」
このレストランはよく行くし、値段も手頃なものばかり。
「好きなの選んでいいから」
偉そうには言えないけど、せっかく会ったんだもの。
私も、ちほと喋りたい。
ちほはメニューをじっと見ながら、「これとこれどっちがいいと思う?」と指を差す。
「半分こにしよっか」
何だかちほの機嫌を窺うみたいで、心苦しかった。
バレても別にいいのかもしれない。
けれど、「何でもっと早く言ってくれなかったの?」と言われるのが、目に見えている。
ちまちまとピザとカルボナーラを食べながら、ぼうっと考える。
千景さんのこと、好きじゃなかったら言えたのかな。
考えても答えは出ないくせに。
やたらチーズの味が重たく感じた。