はじまりの日
はじまりの日




俺の愛したその人は6歳年上の美しい女性。


高校生の時に、バイト先の郵便局で運命の出会いを果たした。


彼女は正職員ではなく、主に郵便内務の事務を担当する非常勤職員……ようするにアルバイトだったけれど、職員に代わり後輩達の世話係的な役割を担っていた。


働くのは初めてで、右も左も分からずにオタオタしていた俺に、優しく仕事を教えてくれた。


一目ボレだったけど、社会人の彼女から見たら高校生の俺なんて、まだまだヒヨッコで頼りない男に見えた事だろう。


そもそも、成人女性が高校生と付き合う訳にはいかないし。


うかつな事をしたら彼女に迷惑がかかってしまうから、なかなか自分の気持ちを打ち明ける事はできなかった。


それでも仕事の合間、頑張って彼女に話かけて、何とか「気の合う年下の男友達」くらいの関係にまではこぎつける事ができた。


そして高校3年の秋、俺は国家公務員第三種試験に挑戦。
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