はじまりの日
生活に困らないくらいの必要最低限の賃金がもらえて、なおかつ子ども優先の生活にならざるを得ないシングルマザーに対して理解を示してくれる職場なんて中々巡り会えるものではなく、その点雪さんはとても恵まれていたと言える。


「でも、これで謎が解けたな」


なんて事を考えていたら、徹が俺に写真立てを返しながらしみじみとした口調で言葉を発した。


「何がだよ?」


「お前、年上が好みだったんだな。だから学校の女どもが分かりやすくアプローチして来ても我関せずだったんだ」


「いや、それは違う」


俺は間髪入れず否定した。


「年上好みだから雪さんを好きになったんじゃなくて、好きになった人がたまたま年上の雪さんだったってだけの話だから」


「……なるほどね」


全然納得している感じは見受けられなかったが、これ以上この話を膨らますのも面倒だったのか、徹はそう返答した。


「しっかし、伯父さん伯母さんが良く結婚を許してくれたよな~」
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