だんご虫ヒーロー。



彼方を病室まで送り届けて、病院を出る。



バッグからスマホを取り出して、メールなどがきていないかの確認。



メールはきてなかったけど、着信通知がきていた。
でもそれは知らない、アドレスに登録してない電話番号。



……誰だろう。
この番号からもう5件も電話がきてる。



こういう時はかけ直してみるのがいいって綾女が言ってたけど、そんな勇気私にはない。



人助けする勇気はあったとしても、それとこれとは別の話。



見ず知らずの人に電話なんてかけられない。
もしかけ直して、怖い人だったらって想像するだけで怖い。



スマホと睨めっこしてると、同じ番号からまた電話がかかってきた。



「…うわ!」



驚いてつい病院の前で声をあげてしまった。



これは出た方がいいのかな……?



でも私のスマホに6回もかけてきてるんだし、私に用があるのは確定だよね?



通話ボタンをタップしてスマホを耳に当てる。



「…も、もしも…し」



『…あ、やっと出た!李ちゃん!?分かる?私だよー!』



声ですぐに分かった。



久しぶり過ぎて自然と口角が上がってしまう。



私は嬉しくなって「久しぶり!」と大声を出してしまった。


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