だんご虫ヒーロー。
男同士の約束なんてちょっとむさ苦しいけど、それはすごく熱くて固い約束になる。
李を抱き締める手に力を入れる。
「…ゆ、夕里?」
どうしたのだろうかと李が顔を上げ眉をハの字にして、俺を見つめてきた。
「…ん?なんでもないよ。そろそろ帰ろっか」
俺は李の頭を優しく撫でてごまかした。
そして片手でジュリエットの紐を持ち、もう片方で李の手を握り歩き出した。
この細くて小さな手を絶対に離さない。
離れてしまったとしても、すぐに手を差し伸べてこの手を握るよ。
原崎さん。
あなたが残した大切なものを、今度は俺が守ります。
あなたが叶えられなかった一生の願い、俺が一生かけて叶えます。
でもあなたとの約束を守るのは、あなたのためでも、俺のためでもない。
全ては李のため。
李のために、俺はこの約束を守る。
太陽が昇り始めた青空を見上げ、俺はこれから先の決意を固めた。
輝く眩しい太陽が空から見守ってくれてる彼のような気がして、俺はふっと小さく笑った。
【side end】