だんご虫ヒーロー。
「…まぁ、いいよ。大事には至らなかったし」
女子生徒の痛いくらい鋭い視線だけで済んだし。
綾女に甘い私は綾女の可愛さに負けて許すと、綾女は「李ぉ〜!」なんて言ってまた抱きついてきた。
何かと私に抱きついてくるのが綾女の癖というか日常的なもので慣れてしまってるから別に離そうとはしない。
でもさすがに真夏に抱きつかれると暑くて離そうとするけど、意外と力が強くて離そうとしても離してくれない。
だからもう無理に引き剥がそうとはしない。
引き剥がそうとするだけ無駄だと、分かってるから。
綾女は私の腕に自分のを絡めて笑顔で歩く。
「…にしてもまさかあの芹田先輩とぶつかっちゃうなんてねー!
李、運いいよねー!羨ましいよ!」
え?芹田先輩?
私は聞いたことのないワードに頭の中ではてなマークを浮かべて、綾女を見上げて首を傾けた。
「…芹田先輩って…誰?」