だんご虫ヒーロー。



咄嗟に出た私の言葉に綾女は漫画で言えばポカンという音が描かれそうなほど大きく口を開ける。



あの先輩ってそんなに有名なの?
というか先輩だったんだ。



一応敬語で言っといて良かった。



「えぇー!!李、芹田先輩のこと知らないの!?」



知らないなんて有り得ない。
そんな表情で綾女は私を見る。



そんな顔されたって…
知らない人は知らないんだよ。



そして耳近くで大声を出されたから耳が痛い。



「あの人は2年の芹田 夕里(せりた ゆうり)先輩って言って、この学校一のイケメンって女子生徒からすごい人気なんだよ!?しかも優しいし!」



すごい勢いの綾女に私は身体を後ろに引くことしかできない。



あの人が人気なのは周りにたくさんの女子生徒がいたから何となく理解できる。



そして綾女面食いだから興奮するのも理解できる。



でも…


< 8 / 554 >

この作品をシェア

pagetop