ONLY YOU~年の差結婚の秘密~
敦司さんは持っていたカードキーでドアのカギを開けて中に入る。


私は彼の背中の後に付いて行くだけ。


全面硝子が夕陽色に染まっていた。



「綺麗…」



私は目の前の景色に感動して硝子に張り付くように立ち、暫く見入ってしまった。



「…こんな景色で感動するとは…子供だな…」


「…敦司さんも良く見てください…とっても綺麗ですよ」



二人でこの感動を共有したくて、隣に立っていた敦司さんの腕を引っ張った。



「…俺は海外赴任が多かった…だから…世界の絶景だって知っている…たかがこんなホテルの夕陽を見た…」



「…私は初めてです…本当に綺麗…」


敦司さんは黙ってしまった。



敦司さんの方を不意に見つめる。



彼の姿もまた部屋に降り注ぐ夕陽の黄金色に染まっていた。







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