サクラ咲く
そういえば。


大輔から貰った5万円、どうしよう。


ビジネスホテルに泊まるつもりだったから貰ったお金。



…あ。



そうだ。

如月に何かプレゼントしよう。
いつも泊めてもらう、お礼として。

カフスとかタイピンとか…実用性があるものを。



そうしよう。



そう心に決めたら、色々考えてしまう。

どんなのがいいかとか好みはあるのか、とか。



リビングのソファに膝を抱えて座り込み、長考に入り込んでいた…らしい。


「かの?」



いきなり話しかけられて飛び上がるほど驚いた。



「何なんだ?」

「び…びっくりした…」


濡れた髪をタオルでガシガシ拭きながら、上半身裸でグレーのスエット姿で近寄ってくる。



わ…。



「何?」

「腹筋すごい…」



そこか、と小さな声で突っ込まれた。


「やることない時はジムに行くからな。こんなの昔っからだぜ、知らなかったのかよ?」


知るわけないでしょ。



裸になることなんてないんだから。



言いたくても言えなかった。


「髪、結構色素薄いんだね、おじさんの影響?」


如月の父親はイギリス人だ。

まるでモデルのような素敵な人。日本語がペラペラだから妙な感じがするけども。



「まぁな。ちなみに目も薄いよ。よく勘違いされて英語で話しかけて来るやついるし。」



首にタオルをかけ、キッチンへ行くと冷蔵庫からビールを取り出してきてかのこの横に座る。


「いるか?」


差し出された缶ビールを受け取る。



「かのは酒強いんだよなぁ。酔っ払った勢いで間違いが起こるなんてのは絶対無さそうだ。」




ははっ、と自嘲気味に笑う。




それは…如月と、ということなんだろうか。



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