侍先生!
「ふん、このうつけが。 ふがいないわ」


私が本を片付けて、ふいに言ったこの言葉で、先生のスイッチが入る。


「わしを誰だと思っておる! 天下の織田信長だぞ!!」


と、近くにあった机をドン、と叩く。


私は、ニヤリと笑う。


「貴様のようななりあがり者…わたしは認めん」


「光秀! きさま…謀反する気か。 お前ごときに、わしの首はやらん!」


「信長、覚悟! 敵は本能寺にあり!!」


ガラッ、と音がして、ドアが開いた。


そこには、親友であり、クラスメイトの徳川皐月(とくがわさつき)が立っていた。


「…何やってんの?」


左右の眉にあいだに、シワを作って私達を見た。


「えと…信長ごっこ」


私が笑って言うと、皐月は、軽蔑するような目で私を見ていた。
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