侍先生!
「まいと先生、ほんっと仲良いよね」


先生のいない教室。
皐月は私の席にやって来て、そう言った。


「歴史好きもの同士、気が合うんだよな? まいちゃん」


皐月の後ろから、ひょこっと顔を出したのは、皐月の彼氏の、織田和也(おだかずや)くん。


「違うもん!」


私がそう言うと、和也くんは驚いたような顔をしていた。


「変な意味で言ったんじゃないよ?」


「“歴史好き”じゃなくて、“日本史好き”!」


「そっちかよ!」


和也くんも、皐月もあきれたような顔をしていた。


「まいは、先生に気があるでしょ?」


皐月が、私にそう言った。


「え? そうなの?」


和也くんは、驚いて、私の顔を覗きこむように言う。


「だって、いつも男子に興味持たないまいが、先生が赴任して来た時、『彼女いますか?』って聞いたのは、なんかおかしいもん」


皐月が、眉と眉のあいだにシワをつくって、私を見る。
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