不滅のLIAR!
大体の目星を付けてすぐに車を出す。


狭い裏道をまごまごと行ったり来たりして、やっと宿の看板を見付けた。


「あっあれあれ!『洞爺湖温泉 古風』あったよ!キャー着いたぁ!」


一生懸命指差しはしゃぐリン。


俺達は宿に隣接する小さな駐車場に車をとめ、全身を雪になぶられながら大きな自動ドアへとバタバタ駆け込んだ。


「ひーっ、ホンットに酷い天気!どうしていつもうちらって優雅に行動できないんだろ!でも温泉でまったりだからもうどうでもいっか!」


広がった髪をなでつつもご機嫌のリンを見ると、俺もやっぱりご機嫌だ。


「いらっしゃいませ。お荷物をお持ち致します。大変な雪の中お疲れでしたね」


中年くらいの着物を着た仲居さんらしい人が、ニッコリ笑ってフロントに案内してくれた。


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