心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
*
「ーーーーーあの、先生。
ちょっと、宜しいでしょうか」
教室の最前列、ど真ん中。
教卓の真ん前で、一本の腕が、真っ直ぐに挙げられてる。
ーーーじぇじぇじぇ。
あいつ、またかよ………。
思わず溜息をついちゃう、あたし。
「な、なんだ、椎名」
先生も、今から途方もない窮地に立たされることを予感して、かなりおどおどしていらっしゃる。
周囲の空気が一変したことに気づいているのかいないのか(いや、たぶん、気にしてないな)、そいつは、迷うことなくすっくと立ち上がった。
むかつくくらい癖のない真っ直ぐな髪が、さらさらと揺れる。
なまじ背が高いから、目の前の教壇に立った先生と、視線の高さがばっちり合ってますね。
しかも姿勢が異様にいいからね。
先生、完全に圧倒されちゃってるよ。
別に好きじゃない先生だけど、かわいそー、って思っちゃいますね、さすがに。