心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
教室にいるクラスメイトも、またか……てな感じで、板書をとる手をとめて、黙って動向を見守ってる。




あ、ちなみに今は、日本史の授業中です。




しーんと静まり返った中で、そいつは軽く咳払いをしてから、よく通る澄んだ声で話し始めた。






「先生の今の発言ですが。


ちょっと左寄りなのではないですか?」






「………は?


ひ、ひだりより?」







先生は、絶賛前線後退中の広い額に浮かんだ脂汗を、かすかに震える手に持ったハンカチで拭う。





あいつは、そんなことも構わずに攻撃を続ける。






「つまり、先ほどの先生の発言は、少しばかり左翼的であった、ということです」






………は?



さよく?







教室じゅうがしぃんと静まり返る。





でも、もちろんあいつは、気にしない気にしない。







「ですから、先生の今の発言は、あなたの意図の何如に関わらず、共産主義を積極的に良しとしていると取られても仕方がないような発言だと、僕には思われたんですが」







…………はぁ?




いったい、何のおハナシですか???







あたしは呆気にとられた。






ちなみに今、クラス中の目が点になってる。



いくら今までに何度となく繰り返された光景とはいえ、その発言内容が突飛すぎて、みんなついていけてないのだ。






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