心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
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あたしたちは並んで校門を出た。
部活生はまだ学校の中だし、帰宅部の面々はすでに帰宅済みだし、周りには全然人がいない。
車通りの少ない道まで来ると、カナタはいつも通りカバンから本を取り出した。
「今は何読んでんの?」
「ん?」
カナタは本を持ち上げて、タイトルがあたしに見えるようにした。
『ウィトゲンシュタインの思考と生涯』
………訊かなきゃよかった。
「うぃ、うぃとげん、しゅたいん?」
なんつー言いづらいカタカナの羅列!
「なにそれ?」
あたしが一応たずねると、カナタはしおりの挟んであったページを開き、読みながら答える。
「そう。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン。
オーストリア出身でイギリスで活躍した、二十世紀初頭の哲学者だよ。
彼の哲学と生涯について分かりやすくまとめてある、まぁ入門書だね。
比較的平易な内容だし、みーちゃんも読んでみる?」