心底、不思議。~毒舌カナタとひねくれみーちゃん~
カナタがふふっと笑って、話し始める。







「金木犀はね、江戸時代に中国から日本に伝わってきたんだ」






「ふぅん、そうなんだ」






「本場中国では、金木犀の香りは、月の香りだ、って言われてるんだって」






「へぇ……月の香り………」







カナタらしからぬ、ロマンチックな話だ。





でも、あたし、こーゆーの、嫌いじゃないよ。








「なんで月の香りかって言うとね。


中国の古い伝説で、こういうのがあるんだ。



昔、ある仙女が不老不死の霊薬を飲んで、月に昇った。


その仙女は月に住むようになるんだけど、月に咲く金木犀の美しさに魅せられた。



そして、それを地上にも贈ってあげることにした。



それで、金木犀の種を、月から地上に蒔いたんだって」








あたしはうっとりと想像する。






白銀の月面に咲き乱れる、黄金色の金木犀の花。





紺色の夜の闇のなか、ぱらぱらと舞い落ちてくる金木犀の種。






そして、地上でゆっくりと育ち、花開く、美しい金木犀の樹。







「へぇ………だから、金木犀は月の香りなんだ。



きれいな伝説だね………」








あたしはカナタの手をきつく握り返した。






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