やさしい手のひら・中編【完結】
ガラッ

「亜美!」

もうすでに泣きながら由里が部屋に入って来て

「心配したんだから…心配したんだらね…」

何度もこの言葉を繰り返し、大声で泣いていた

「由里…ごめんね。助けてくれてありがとう」

「亜美が死んじゃうかもって思ったんだからね!記憶は戻らないし、もうばか!」

私の手をしっかりと握り、よかったよかった、って由里は言ってくれた

「本郷、悪いんだけど亜美と二人で話がしたい」

突然、由里が真顔になり凌に言った

「俺いたらだめなの?」

「だめ!女だけの話なの!」

「わかったよ、待合室にいるから」

「終わったら呼びに行くね」

凌は雑誌を持って出て行った

私はそんな凌の後ろ姿を見てから由里の顔を見た

「亜美…」

「う…ん?」

「赤ちゃん…」

「うん。さっき凌から聞いた。私のお腹にはもう赤ちゃんいないんだよね…」

やっぱり赤ちゃんの話になると涙が溢れてくる
< 210 / 388 >

この作品をシェア

pagetop