やさしい手のひら・中編【完結】
着替え室に入り、乱れた呼吸を整え、捕まれた腕に手をあてた

ほんとに力が凄くて女の私にはどうすることもできなかった

ふと、無性に寂しくなり、健太に会いたくなってしまう

「健太会いたいよ」

涙が一粒落ちてきた。健太を思うと次々と涙が溢れ出してくる

自分の鞄を開け、携帯に着信が入っていないか見てみた。でもやっぱり連絡は入っていなくて…

トントン

ドアがノックされ、ビクッとしてしまった

新くんかも、と頭を過る

「…はい」

「亜美ちゃん、これから打ち上げなんだけど行ける?」

田村さんだった

「打ち上げですか?」

「そうよ。主役にはいてほしいな」

これは仕事であって遊びじゃない。スタッフやカメラマンの人達に迷惑を掛けたし、素人の私にみんな親切にしてくれた。だから断る訳にはいかない、と思い

「行きます」

「着替えたらすぐ、ロビーに来てね」

「あ、はい」

とにかく急いでロビーに行かないと…

私は自分の服に着替え、荷物を鞄に詰め走って部屋を出た

「すいません、遅くなりました」

「よし、揃ったね」

周りを見ても新くんがいない

「新くんいないんですか?」

私は田村さんに聞いた

「まだ仕事が残っているみたいよ。後から来るって」

新くんが遅れて来ることにホッとしてしまった

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