With a smile
「ちょ、ちょっと待って。遅らせたって・・・、だったら最初からカイさんがやれば良かったんじゃ・・・」

「ちゃんと出来てるじゃないか」

3枚にもなったA4の紙をヒラヒラさせた。

「それは全部奥さんが言ったんです。私はそれを書いただけです」

「オレだったらこんなに聞き出せなかった。人間あやふやなものは言葉にしにくいからな。それをここまで言わせた。
マッキーだから出来たんだ」

優しい眼差しで力強く言った。

そして最後まで目を通すと、

「じゃあ、そろそろ行くよ」

時計を見ながら立ち上がった。

「海に・・・」

「え?」

下を向いたままのカイさんのくぐもった声を聞き返した。



「海に、あいつが、おと・・うとがいる」


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