Taste of Love【完】
「あぁ、今日はなんだかついてないな……」
とぼとぼと駅に向かって歩く。夕方の住宅街は子供たちの声やキッチンからのいい匂いで冬なのに暖かく感じた。
(くよくよしてても仕方ない)
寒風吹きすさぶなか、早足で歩く。間もなく駅につくというところで、グイッと肩を引かれた。
(えっ!)
いきなりのことで驚いて声も出なかったが、そこにいた人物を見て目を丸くする。
「あ、浅見さん?」
そこには息を切らせて立っている、シェフコート姿の大悟がいた。
「ど、どうしたんですか?資料なら店の人に……」
「はぁ、はぁ……あぁ、ちゃんと受け取った」
膝に手をあてて息を切らし、苦しそうにしている表情から、全速力で走ってきたことがわかる。
真冬なのに、額には汗もうっすら浮かんでいた。
「これ……メリークリスマス」
「私に?」
「あぁ、食えないかもしれないけど、一応な」
そう言って手渡されたのは、可愛くアイシングされたツリーと天使の形をしたクッキーだった。
とぼとぼと駅に向かって歩く。夕方の住宅街は子供たちの声やキッチンからのいい匂いで冬なのに暖かく感じた。
(くよくよしてても仕方ない)
寒風吹きすさぶなか、早足で歩く。間もなく駅につくというところで、グイッと肩を引かれた。
(えっ!)
いきなりのことで驚いて声も出なかったが、そこにいた人物を見て目を丸くする。
「あ、浅見さん?」
そこには息を切らせて立っている、シェフコート姿の大悟がいた。
「ど、どうしたんですか?資料なら店の人に……」
「はぁ、はぁ……あぁ、ちゃんと受け取った」
膝に手をあてて息を切らし、苦しそうにしている表情から、全速力で走ってきたことがわかる。
真冬なのに、額には汗もうっすら浮かんでいた。
「これ……メリークリスマス」
「私に?」
「あぁ、食えないかもしれないけど、一応な」
そう言って手渡されたのは、可愛くアイシングされたツリーと天使の形をしたクッキーだった。