Taste of Love【完】
「こんなに可愛いの、浅見さんが作ったんですか?」
「当たり前だろう。俺の本職なんだから」
ところどころにつけられたアザランが、キラキラと輝いて見える。
「そうでしたね。うっかりしてました。ははは」
「なんだよ、それ。こっちの丸い顔の人形ぶー子にそっくりだろう」
「なんですか、それ!ひどい!」
ふたりの笑い声が、夕暮れの商店街に響く。
ひとしきり笑った後、先に口を開いたのは大悟だった。
「どうして、何も言わずに帰ったんだよ」
(追い返されたなんて言えない……)
「お店みたら、すごく忙しそうだったから」
「お前はちゃんとアポとって来てるんだから、気にしなくていいんだ」
「はい……次からはそうします」
大悟の気づかいがうれしくなり、笑顔を返す。
「はーくっしょーい」
するといきなり大悟が大きなくしゃみをした。
「うぅ寒ぃ」
コートを着ていない大悟は汗が引いてきたようで、とたんに寒がり始める。
「コートも着ないで来るからですよ」
憎まれ口をたたく風香だったが、内心そんな大悟の態度が嬉しかった。
「じゃあ、俺行くわ。風邪ひくなよ」
「それはこっちのセリフです」
歩き始めた大悟は、こちらを見ずに手だけを上げて挨拶をした。
私はその姿を見つめながら、さっきまで冬空のように曇っていた心が晴れ渡っていくのを感じていた。
「当たり前だろう。俺の本職なんだから」
ところどころにつけられたアザランが、キラキラと輝いて見える。
「そうでしたね。うっかりしてました。ははは」
「なんだよ、それ。こっちの丸い顔の人形ぶー子にそっくりだろう」
「なんですか、それ!ひどい!」
ふたりの笑い声が、夕暮れの商店街に響く。
ひとしきり笑った後、先に口を開いたのは大悟だった。
「どうして、何も言わずに帰ったんだよ」
(追い返されたなんて言えない……)
「お店みたら、すごく忙しそうだったから」
「お前はちゃんとアポとって来てるんだから、気にしなくていいんだ」
「はい……次からはそうします」
大悟の気づかいがうれしくなり、笑顔を返す。
「はーくっしょーい」
するといきなり大悟が大きなくしゃみをした。
「うぅ寒ぃ」
コートを着ていない大悟は汗が引いてきたようで、とたんに寒がり始める。
「コートも着ないで来るからですよ」
憎まれ口をたたく風香だったが、内心そんな大悟の態度が嬉しかった。
「じゃあ、俺行くわ。風邪ひくなよ」
「それはこっちのセリフです」
歩き始めた大悟は、こちらを見ずに手だけを上げて挨拶をした。
私はその姿を見つめながら、さっきまで冬空のように曇っていた心が晴れ渡っていくのを感じていた。