何度でも、伝える愛の言葉。
『そうだよね…。でも私、樹季くんにはどんなことも伝えられるパワーがあると思う。』
「パワー?」
『うまく言えないけど…私が書いた歌詞だとしても樹季くんが歌わないと響かないし、樹季くんが歌うことに意味があるのかなって。』
澪がバンドに入ってからの短い期間で、そう思っていたことが嬉しかった。
樹季の声、樹季のボーカル、それは俺たちメンバーをも引きつける力がある。
間違いなく、バンドの顔だ。
それがメンバーからであっても、樹季が評価されたときは自分のことのように嬉しい。
きっとそれは悟も誠太も同じなんだ。
そして、澪も。
『樹季くんはどんなこと考えながら歌詞を書いて、それをどんな気持ちで歌ってるのかな。実体験を書いたりするのかな。』
「そこは、あんまりちゃんと聞いたことないなぁ。」
この歌詞が実体験だとかそうじゃないとか、そういう話はあまりしない。
ラブソングを実体験だと、聞いてもいないのに話してくる誠太を除いては。
「気になる?樹季のこと。」
『えっ?いや、そういうわけじゃなくて…ただ、なんとなく参考になるかなって思って。』
焦って言い訳のように話す澪がおかしくて、思わず笑ってしまう。
「分かってるよ。」
だけど本当は、図星だったのか違ったのか、今の俺には分からなかった。