何度でも、伝える愛の言葉。
「でも、綺麗な思い出なんかじゃねぇから。」
『それは、ずっと誰にも言えずに抱えてるからじゃないの?』
「え?」
まっすぐに俺を見る澪の目に、全てを見透かされてる気がした。
『でも歌にして沢山の人に聴いてもらえたら、誰かがそれを肯定してくれるかもしれない。そしたら悠くんも救われるんじゃないかな?』
「俺も…?」
『うん。歌を聴いた人たちだけじゃなくて、悠くんも。』
それが、届けるということだとしたら。
俺はまだ何もしていないのかもしれない。
『あっごめん、偉そうなこと言って。悠くんのこと何も知らないのに…。』
「ううん、ありがとう。澪の言う通りだよ。」
曲を作ることをそういう視点で見たことはなかった。
上辺だけの、綺麗な言葉を並べただけの歌よりも、もっと生々しい…生きている歌を作りたい。
そう思った。
「俺の話、しても良いか?」
俺のことを何も知らないと寂しそうに言った澪に聞いてほしくて、俺は灯里とのことを全て話した。
「重くねぇかな、歌詞にしても。」
『全然重くないよ!歌えば届くかもしれないなんて、すごく素敵な可能性だと思うな。』
純粋な澪の言葉を聞いて、俺は灯里に向けた歌を作ろうと決めた。
「ありがとな。」
澪の頭をポンと撫でると、俺は再びノートと向き合った。