何度でも、伝える愛の言葉。

『澪ー!歌詞見せて!』


少し遅れてやってきた悟くんが開口一番そう言った。



「あぁ、うん。」

『お前、急かしすぎ。』

『とか言って〜樹季も早く見たいくせに。』


悟くんと樹季くんがそんなやりとりをしていると、悠くんと誠ちゃんも寄って来た。



「なんか…緊張するな。」

『こんなとこで緊張なんかしてたら一生ライブで歌えないよ!』

「ははっ、そうだね。」


誠ちゃんの言葉に緊張が解れて、私はノートを広げて皆の前に出した。


このバンドのことを、大切なメンバーとのこれからを、悠くんが話してくれたエピソードを頼りに私なりに書いた歌。

そんな背景は話していないけれど、皆には伝わるだろうか。



『澪、これすげぇ良いよ。』

『うん、めっちゃ良い!』

『お前やるじゃん!』


最初に口を開いた樹季くんに続き、誠ちゃん、悟くんもそう言ってくれた。



『俺の気持ち、ちゃんと汲み取ってくれてありがとう。』

「悠くん…。」


悠くんと一緒に書いた前半、私が受け継いで完成させた後半。

そのすべてに、悠くんのバンドへの想いを詰め込んだつもりだ。



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