時の彼方に君がいた
「藤音、ふぅじねっ」


後ろで囁く声に僕ははっと顔を上げた。


いつのまにかうとうとしていたらしい。


時計を見ると一時限目が始まって


すでに30分が経過していた。


ノートの上には眠気にあらがって


板書を写そうと試みた形跡があったが


書かれているのは


絡まったイヤホンのような


掴みどころのない代物で


はっきり言って解読不能だ。


ちらりと


囁き声の聴こえた方を振り返ると


後ろの席の少年がにっと僕に笑いかけた。


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