彼がヤンデレになるまで
だからそれに呆れているんだと言う前に、外套を頭から被せられた。カルツが今まで着ていたものだ。
「濡れるんですが」
「濡れてた方が、熱くないだろうし」
は?と言うミナナに、待っててと笑顔なカルツ。
すぐそこに敵がいるというのに、何故余裕なのかは――ベッド下から出てきた手榴弾で知る。
ベッド下をがさごそだなんて、それなりに衝撃的なのに、更なる衝撃。
「私、その上で寝ていたんですけど……」
「変な真似したら、勝手に自滅してくれるんじゃないかと思って」
「……」
キングサイズのふかふかベッドだー、とばふんばふんしてしまった日をミナナは頭から揉み消した。もう二度と、馬鹿な真似はしないと心に決める。