彼がヤンデレになるまで


だからそれに呆れているんだと言う前に、外套を頭から被せられた。カルツが今まで着ていたものだ。


「濡れるんですが」


「濡れてた方が、熱くないだろうし」


は?と言うミナナに、待っててと笑顔なカルツ。


すぐそこに敵がいるというのに、何故余裕なのかは――ベッド下から出てきた手榴弾で知る。


ベッド下をがさごそだなんて、それなりに衝撃的なのに、更なる衝撃。


「私、その上で寝ていたんですけど……」


「変な真似したら、勝手に自滅してくれるんじゃないかと思って」


「……」


キングサイズのふかふかベッドだー、とばふんばふんしてしまった日をミナナは頭から揉み消した。もう二度と、馬鹿な真似はしないと心に決める。


< 36 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop