彼がヤンデレになるまで
「因みに今まで、何やっていたんですか」
「人殺しを少々」
「つけられてんじゃないですか」
「傘もささずに、夜中歩けば目立つよねぇ」
カルツの足を踏む。
ムカムカを退出経路探しで塗り消し、やはり窓からがベストかとミナナは窓辺に向かう。
「ここ、三階」
「知ってます。銃殺で即死よかは、落下して生き残るか否かの賭けをしたいので」
「ギリギリの局面で、ミナナは今まで生きていたんだねぇ。――でも」
と、腕を掴まれた。
「それも今日まで。今から俺が、ミナナを守るから」
歯の浮くような言葉に、ミナナは呆れるしかなかった。
「絵本の中の住人……」
「俺が王子なら、ミナナはお姫様だね」