box of chocolates
偽りの新年会
新しい年になり、早くも一ヶ月が過ぎようとしていた。今夜は、父から言われていた新年会の日。
『お洒落しておいで』
 父は、そんなことを言っていた。もしかしたら、ホテルの会場で、立食パーティーみたいなものかもしれない。私は、普段あまりはかないスカートを、そしていつもよりお化粧をした。電車で向かった先は、高級ホテル。やっぱり、私の思った通りだった。
「こんばんは」
 ホテルのロビーに向かうと、八潮さんが会釈をした。
「どうぞ、こちらへ」
 そのままついていくと、パーティー会場ではなく、レストランへ。案内された席には、八潮さんのご両親がいた。私が思っていたようなパティシエの新年会とは違っていた。




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