box of chocolates
 テーブル席に私の家族と八潮さんの家族が向かい合って座った。八潮さんの父が挨拶をして、ワインで乾杯。酒が飲めない私は、乾杯だけすると、ひと口も飲まずにグラスを置いた。
「杏、お酒は苦手?」
 八潮さんの問いに私が頷くと、すぐに店員を呼んだ。
「何か、ノンアルコールのものを」
「では、こちらなど如何でしょうか?」
「ああ、いいね。では、それをお願いします」
 店員に勧められた、ノンアルコール飲料が運ばれた。
「ノンアルコールのシャンパンだよ。いちごの風味で、杏に合いそうだ」
「いただきます」
 ひと口飲むと、爽やかな香りが口に広がり、とてもおいしかった。
「美味しい」
 私が呟くと、八潮さんが微笑んだ。



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