box of chocolates
私は、やっぱりレースを観るのが恐くなって、目を瞑って祈っていた。長い長い数分が経過し、大歓声が沸き起こった。
「ミユキングと、ストレプトカーパスだ!」
 八潮さんが興奮気味に声をあげた。私は、目を見開き、ターフをみつめた。ゴールまでの最後の直線で、ニ頭が競り合いながら掛けてゆく。そのうちの一頭が、ストレプトカーパスだというのだ。ミユキングに馬体をぶつけられても、負けじと食らいつく姿。貴大くんは、小柄な体で懸命に馬を追っていた。貴大くんは、このレースに全身全霊をかけて臨んでいた。勝利の女神がいるのなら、彼に微笑んで下さいと、本気で思った。

 後続からも馬が追ってきて、ストレプトカーパスと馬体を合わせる。残り百メートルあたりで、ストレプトカーパスがズルズルと後退した。結局、ミユキングが一番にゴール板を駆け抜けた。ストレプトカーパスは、後続馬にも抜かれ、三着となった。




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