box of chocolates
栄光のゴールへ
ジョッキーの紹介が終わり、両親の元に戻った。
「おかえり」
 私の姿を見て、母が手を振った。寝転んでいた父は、そのまま昼寝をしてしまったようだ。
「八潮さんが来てた」
「そうなの? また御幸さんの馬の応援?」
「うん。自信満々だったけれど、こっちだって負けていられないんだから」
「そうだね。負けたら困る」
 母はうんうんと頷きながら、笑顔を見せた。
「そう、お父さんが言ってたよ」
 声にならない声をあげ、母を見た時、父が寝返りを打った。
「そろそろ移動しましょうか? ほら、起きて」
 母が父をポンポンと叩くと、欠伸をしながら起き上がった。ピクニックシートを片付けると、三人で並んでゆっくりと歩き出した。
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