box of chocolates
ハロウィンパーティー
 そして、ハロウィンパーティーの夜を迎えた。
パーティーなんだからと、普段はあまり着ないワンピースで、いつもよりおしゃれをして出かけた。参加する女の子の中に、意中のパティシエさんに告白するんだ、なんて言っている子がいたけれど。その子の恋の行方も気になっていた。

 約束の時間より少し早くに店に到着した。店は真っ暗だ。これも演出? 中に入ってみんなが揃ってから電気を点けるとか、ハロウィンらしく、ローソクの灯りだけで過ごすとか。そうだとすれば面白い。そんなことを考え、ドキドキしながら店のドアを開いた。入った瞬間、灯りが灯った。いちばん奥のテーブルで、灯りをつけた八潮さんが座っていた。ゆっくりと八潮さんのほうに歩いていく。
「やぁ!」
「こんばんは」
 テーブルの上のアロマキャンドルが、ほんのりと甘い香りを漂わせていた。私の胸の鼓動がスピードをあげていた。

 ふたりしか、いない。

「さぁ、座って。かぼちゃプリンを用意してあるから」
「あの」
「あっ! もしかして、お腹空いたかな? とりあえず、スイーツを食べてから、食事に行こうと思っているんだけれど」
 八潮さんは、私に話す間を与えないかのように、どんどん話しかけてくる。
「今日、懇親会じゃないんですか?」
 冷めた口調で、冷静に質問した。
「懇親会だよ」
 八潮さんは、そう応えてから、アロマキャンドルを持って、厨房に向かった。アロマキャンドルの灯りだけの薄暗い店内。その中で私は立ち尽くしていた。
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